Story Tellers from the Coming Generation!
Interactive fighting novel JOJO-CON
双方向対戦小説ジョジョ魂ミュージアム
叛逆者たちの狂宴・後篇
システムが完全に定義されると、それを廃止させるか、
元がわからなくなるほど変えてしまう何かを発見するヤツが必ず現れる。
……ブルックの法則
31．エリス・ロポーチェン その１
……解放まで残り……
エリスの家は裕福だったが、お世辞にも幸福とはいえなかった。
むしろ、どろどろした恐怖に満ちていた。
エリスの身体には、生傷が絶えなかった。
来る日も、来る日も……陰湿な仕打ちが続いていた。
父親は仕事が多忙で、ほとんど家には顔を見せない。
しかし母親の下へ行けば、自分を優しく抱きしめてくれる。
それだけが、母親の胸の中だけが……彼女の安心して逃げ込める場所だった。
だが、父親がその財産とともに姿をくらました時……母親もそのショックからか、エリスにつらく当たる
ようになった。
「……エリス！ あんたはいつもそう……悲しげな顔をして、私に何も話してくれない。
一体何があったの？ 答えなさい……！」
恐ろしい形相で母親はエリスを問い詰めた。
エリスは真実を打ち明ける勇気がなかった。母親に話せば……「姉」たちが黙っていない。
その事を考えるだけで、全身が凍りついたように……怖気が走った。
パパはいなくなった。
ママも……やさしいママも、どこかへいっちゃった。
あの『ふたり』だけじゃない。ママまで……あたしをぶつ。ぎゃくたいする。
だれもあたしにやさしくしてくれないの。どうしたらいい……？
エリスは、この世の何もかもが恐ろしくてたまらなかった。
もう、安心できる場所はない。どこにも……逃げ場はない。
こわいよぅ。ママも。おねえちゃんたちも。このおうちも。なにもかも……
たすけて、かみさま！
つれていって、どこかとおくへ。
どんなにさむくて、さびしいところでもかまわないから。「ここ」よりはましだから。
にげなきゃ。にげなきゃ。にげなきゃ、ころされる。にげなきゃ……
ニゲナキャ、コロサレルゥゥゥゥゥゥゥゥ！！
エリスの悲痛な願いは聞き届けられた。ただし「神」にではない……「悪魔」に。
エリスの身を守るべく、悪魔は巨大な白い塔を彼女に遣わした。逆位置の「塔」を。
その日を境に、エリスの母親と……「姉」たちは死んだ。
これが、エリスのスタンド……「象牙の塔」（アイボリー・タワー）の誕生であった。
32．騎士の誓い
……残り二日
ブルックの能力によってエリスの過去を垣間見たブラフォードは、「逆位置の悪魔」の男の誘いに乗る決心をした。
「願わくば……きみがこの『試練』に打ち勝ち、我らと同様『叛逆の徒』たる資質あらん事を」
ズブゥゥゥッ……！
矢がブラフォードの胸板に深々と突き刺さる。
血がドクドクと溢れ出すが、黒騎士は表情ひとつ変えない。
ドシュウゥーッ！
矢が引き抜かれると同時に、ブラフォードの中から力強い精神のビジョン……スタンドが出現した！
「おめでとう……きみも今日から我らの『仲間』だ……
きみのスタンドは『逆位置の戦車』の暗示。
黒騎士ブラフォードよ。我に与えられし力を以って、己が望みを存分に果たすがいい」
スタンド能力……それがいかなるものなのか、ブラフォードは漠然と理解しはじめていた。
選ばれた者だけが身につける事のできる超常の能力。
スタンドを見る事ができるのは「スタンド使い」のみ。
スタンドを傷つける事ができるのもスタンドのみ。そしてスタンドは「ひとり一能力」……
そして今、ブラフォードと共にザンジバルに向かう少女エリスもまた、スタンド使い。
ブラフォードは最初、逆位置の悪魔のいう「自分の望み」とは、「メアリーに再び仕える」事だと思った。
だがすぐに、それは誤りであると悟った。
エリスは確かに、メアリーに瓜二つであったが……その精神はあまりにも脆弱で、20歳前後の肉体的な年齢にもかかわらず、
５〜６歳の幼女のような振る舞いをする。
過去のトラウマに原因があると「逆位置の悪魔」の男は言っていたが……
しかも彼女は、あまりに矮小で、卑屈で、自己嫌悪に陥る事に陶酔しているような感さえある。
しかしながら……ブラフォードは、エリスを見捨てる事ができなかった。
彼女の凄惨な過去を「感じて」しまったから。
彼女の「過去」は今でも、彼女の心を脅かしているから。
それに何より……少女の悲しむ顔を見たくはなかったから。
それは、かつて救う事のできなかったメアリーを彼女に重ねているわけでもなく、自然に湧き上がった純粋な感情であった。
互いの「過去」を伝え合った者どうし、２人の間にはいつしか「絆」が結ばれていた。
エリスは己の感情を吐露し、怯えた赤子のようにブラフォードの胸にすがりついて泣いた。
ブラフォードは彼女の涙を優しく拭ってやると、
「誓いましょう……我が『騎士道』にかけて。
我が命に代えてでも……あなたをお守りいたします……エリス様」
微笑んで、エリスの手の甲に恭しく口づけをした。
エリスも泣き顔をほころばせた。彼の言葉に嘘はなく、自分を勇気づけようという気持ちが伝わってきたからだ。
「……ありがとう、ブラフォード……うれしい……」
ブラフォードの真の望み。それは今一度、自らに課した「騎士道」を貫き通す事であった。
《 チューリヒの別荘へ 》
《 ザンジバル研究所へ 》
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この小説は、
Battle08「音石vsマライア」
Battle14「承太郎（四部）vs未起隆」
Battle15「辻彩vs透明な赤ちゃん」
Battle18「偽テニール船長vs黄の節制の男」
Battle29「トリッシュvsアヴドゥル」
Battle30「仗助vsンドゥール」
の設定を元に、Ｌ氏ーどが好き勝手に（スイマセン）構成しています。
解釈ミスもありますが（あるのか・爆）ご容赦ください。
この小説の掲載を許可してくださったＹＢさんに最大級の謝辞を。
承太郎、ミスタ、ポルナレフ（＋亀）、テニール、マライア、ブラフォード、大友流、逆隠者の男、
グロリアにありがとう！
あと花京院、逆位置の悪魔の男にも。そしてスコリッピの冥福を祈りつつ（笑）
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