長嶺青葉は一命を取り留めたものの、やはりキズは深かったのか……しばらくの間、入院生活を余儀なくされてしまった。無論、デートの約束もフイになってしまった。
しかし、それで億泰がガッカリしたかと言うと……そうでもない。
夏休みに入ってからというもの、億泰は飽きもせず毎日のよーに青葉を見舞いにやってきていた。
「億泰くん……悪いわね、いつも来てくれて」
「な〜に、いいって事よ。前にオレが入院した時にさァ、青葉さんがオレの事看病してくれたって聞いてさ……今度はオレの番、ってワケだ。
春香ンとこから花、毎日持ってきてやるらかなっ」
ニンマリと笑う億泰。いかつい不良の笑顔……あまり美しいとは言えないが、どことなく愛嬌があった。
青葉もつい、それにつられて微笑んでしまう。
（……こーやって……誰かに気遣ってもらえるってのも……悪くない……）
彼女も満更ではない様子だった。病室はいつも明るいムードだった。
億泰はバカだから、気がつかなかった。
自分が入院した時のように、仗助に頼んで青葉を治してもらえば、デートができたという事に。
しかし、今回はこれでよかったのかもしれない。
こうして二人きりで、少しずつ愛を育むチャンスが出来たワケだから……
億泰は青葉に会うたびに、花畑でのあの一件が脳裏に蘇っていた。
（土人形だった、とはいえ……ドキドキしたなあ〜あン時は……）
危うく本来の目的を忘れ、シチュエーションに流されてしまうところだった。
（でもお陰で……ちょっとだけ『免疫』ができたぜ……
いつか、いつの日か……あれを実現させてみせるッ！ そして、その後は……ムフフ）
「……億泰くん？ なんかボーッと天井眺めてるけど……何かいたの？」
「え、あー、いや、その……何でもないッ……何でもねーんだ……ハハハ」
億泰が億泰である限り……彼の『野望』の実現は……
もう少し先の話になりそうである。
この対戦小説はたくたくさんとＲさんの対戦ソースをもとにＬ氏ーどが構成しています。
解釈ミスなどあるかもしれませんがご容赦ください。
たくたくさんとＲさん及びカメオ、億泰にありがとう！